日本経済新聞社/Google News Initiative
- ヒューリスティック評価
- 課題整理・改善実施
- UI/UX
- ユーザーテスト
Proximoは日本経済新聞社様の日本経済新聞電子版のユーザー獲得の強化のため、Google News Initiative(GNI)と連携し、2023年4月から2023年12月までUI/UXデザイン支援を行いました。データ分析やヒューリスティック分析を通じて、改善指標の洗い出しを行い、指標に対しての適切なアプローチを基に日本経済新聞電子版の初月無料体験のCVRを向上を支援しました。
改善にあたり、日経電子版の読者データと過去3年間のマーケティング戦略にある複数の仮説の整合性に着目しました。調査データと仮説の整理によって改善指標の特定につながり、中でも「自分ごと化出来る内容の接触」を軸に取り組みました。
また日経会員のステータスも様々ある中から、本プロジェクトのターゲットユーザーは無料会員と非会員と設定しました。読者データからターゲットユーザーの課題を複数のカテゴリに分けた結果、情報の閲覧性や利便性の課題がありました。改善指標との整合性を踏まえ、情報に関連する課題を優先順位高く取り扱いました。
有料会員と無料会員の間で利用されている機能とそれに基づく利用状況の違いに焦点を当てました。
有料会員は紙面画像を閲覧できる紙面ビューアーの機能を1番利用しています。そして日経を利用することで世の中の流れがわかり、時代を先読みできることに価値を感じています。一方無料会員で多く利用されている機能はアプリの通知やニュースメールでした。また無料会員は「記事の探しにくさ」や「記事を理解することが難解」と感じています。
日経電子版の記事ページから有料版になるCVルートで、日経電子版を購読するメリットが読者に明確に提示されていなかったため、無料会員や非会員がその機能や価値を認識していない仮説として考えられました。つまり紙面ビューアーなど有料会員が多く利用している機能が認知されてない可能性がありました。
ユーザーに価値が届けられていない原因を探るため、ヒューリスティック分析を実施しました。
私たちは①信頼できる②使いやすい③便利・役に立つ④探しやすいの4つの軸で評価しました。
分析した結果、サービスの機能的課題軸が4個あり、中でも「ユーザーは自分が読むべき記事が探しにくいこと」を優先度の高い課題としました。
以上の内容からターゲットユーザーとユーザーに対して価値になり得る訴求軸、そしてなぜ届いていないのか機能的課題を仮説ベースで特定しました。これらの内容をABテストで仮説検証しました。
紙面ビューアーなど複数の訴求軸をもって、獲得のための効果的な訴求軸と、訴求軸からユーザーインサイトを計測しました。ペイウォールでABテストを実施した結果、非会員の初月無料体験のCVRが22%増加し、初月無料体験ボタンのCTRが23%向上しました。さらに無料体験後の課金開始数は9%向上する結果となりました。
データ分析とヒューリスティック分析を通じて、私たちだけでは思いつかなかったテストパターンの提案がありました。 デジタル版ならではの機能を訴求するよりも紙面画像を閲覧できる紙面ビューアーの機能訴求が最も良い結果となったことには驚きであり、新しい発見でした。