東日本旅客鉄道株式会社
- ワークショップ
- 課題整理・改善実施
- UI/UX
- プロトタイピング
- ユーザーインタビュー
- ヒューリスティック評価
- ユーザーテスト
Proximoは東日本旅客鉄道株式会社様(JR東日本様)の新しいSuicaサービスのUXリサーチ/ソリューション検討を支援しています。 定量アンケート調査・定性インタビュー調査の全体のプランニングからリクールティング、インタビューの実施と分析、調査終了後のアイディエーションワークショップのファシリテートなど、幅広い分野で支援・伴走しています。
JR東日本様からいただいていたご要望は「お客さまが求めているものは何かを知りたい、調査をしたい」というものでした。そこでまず、定量アンケート調査・定性インタビュー調査を実施する前に「そもそもこの調査の目的は何か」「何を成し遂げたらゴールと言えるか」を再定義をしました。
また、ソリューションの検討を進める上でJR東日本様とProiximoの合同チームが同じゴールを目指して進めるよう、ゴールの設定・チームビルディングを行いました。プロダクト開発において、各メンバーが主体性を持って活動・発言できる環境を整えることも重要なミッションであると考えています。
JR東日本様の現状の課題感をコミュニケーションを重ねながら理解を深め、今知るべきことは何か、誰に聞けばより良いか、どのように聞けば解像度の高い情報を得ることができるかなど、調査全体のプランニングを行いました。
また、このプロジェクトでは定量アンケート調査・定性インタビュー調査をプロセスの一部として採用をしました。2つの手法を上手く使い分け、より解像度の高い情報を得るための設問の設計も行いました。
既にJR東日本様の中で今後提供したい新しいサービス案があったため、定性インタビュー調査にて、仮説の検証を行いました。
被験者へのアプローチとして、テキストやプレゼンテーション資料を用いた説明だと理解が追いつかず、良いフィードバックを得られない可能性があると考え、ストーリーボード形式での可視化を採用しました。被験者にストーリーボードを読んでもらい、「使ってみたいと思うか否か」「そのように答えた理由は何であるか」などより解像度の高い情報を得るために活用をしました。
定量データでは主に消費者の消費行動の傾向を分析・抽出をし、消費者の実態を明らかにしました。この調査の中で ”意外な発見” もありました。
定性データはより消費者の消費行動の具体的な内容と行動する際の思考を分析・抽出し、消費者を取り巻いている環境の中で何が起きているのか、消費行動を起こすきっかけは何であるかなどの実態を明らかにしました。
今後ソリューションを検討するシーンにおいて、ユーザーニーズの情報源元として活用をしていくデータとなっています。
「なんとなくこんな感じ」で作るのではなく、調査結果・データを基にしたペルソナ構築を行いました。
定量アンケート・定性インタビュー、それぞれの調査では消費者の消費行動の傾向や発生する思考・ペインの多くが明らかになり、消費者の実態とギャップの少ない解像度の高いペルソナが構築できました。またこのペルソナに関してはプロジェクトの進行状況によって変動・アップデートするものだと考えています。
消費者の行動傾向やそのシーンにおいて発生する思考をチーム全体で”正しく把握する”取り組みとして、オフライン形式でのワークショップを実施しました。
また、調査に参加をしたメンバーのみのアイディエーションでは、主観性が強くなってしまい、重要な要素を見逃してしまうリスクもあるため、調査に参加していない方々にもご参加いただきました。その結果、新たな視点や仮説が生まれ、次フェーズに必要となる重要なファクターを発見することができたと考えています。
JR東日本では、2001年に開始した「Suica」について、「センターサーバー方式」への転換を進めており、この機に、これまでは実現が難しかった新しい体験価値のご提供を目指しています。
事業者目線での仮説のままサービスを開始するのではなく、現在のSuicaに足りないものや期待されていること、サービスプロトタイプに対するご意見をお客さまに直接お伺いすることで、商品性やUXの改善を重ね、最良の状態でサービスをご提供できるよう、 Proximo様にご支援いただき準備を進めています。
このプロジェクトで最も重要視した点は「強いチームを作ること」でした。
調査設計・インタビュー実査、ワークショップのファシリテートなどの具体的なアクションも重要ですが、プロジェクト全体を通して「先入観の排除・多角的な視点を持つこと」が最も重要であると考えていました。これらを実現する上でチームメンバーの存在が必要不可欠であり、全員が主体性を持って動ける環境作りに注力しました。その結果、質の高い議論を行い、ミスコミュニケーションによる無駄なコストを削減し、全員が「今やるべきこと」に集中することができたと思っています。
まだ道半ばではありますが、引き続き消費者にとっての価値とは何かを追求しながら、新たな価値創出に尽力したいと思います。
Client : 東日本旅客鉄道株式会社
Creative Direction : Tatsuya Kurihara