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ユーザーテストとは?ユーザーの行動から課題を可視化するための検証手法

Webサービスやアプリの改善を進める中で、「ユーザーにとって本当に使いやすいものとは何か?」という問いに直面したことはありませんか?

そこで活躍するのが「ユーザーテスト」です。

今回の記事では、ユーザーテストとは何かという基本から、実施の流れ、ユーザビリティテストとの違い、成功のポイントまで、初めての方でも理解しやすく丁寧に解説していきます。

目次

ユーザーテストという調査方法の特徴

ユーザーテストは「5人」で十分な理由

「ユーザーテスト」と聞くと、大規模な被験者調査を想像するかもしれません。

しかし実際には、ほんの数人のユーザーに協力してもらうだけで、多くの課題を発見することが可能です。

特に、初期段階のテストにおいては「5人」の被験者で全体の8割近くの問題点を見つけられるという研究結果もあります。

これは、同じような使い方の中に共通する課題が多く含まれているためで、被験者が多すぎると、かえって分析が複雑になるというデメリットもあるのです。

ユーザー視点だからこそ見えてくる問題

実際にサービスやプロダクトを開発しているチームは、どうしても内部目線に偏りがちです。

「わかりやすい」と思っていた導線が、初めて見るユーザーにはまったく理解されなかったり、「誰でも使える」と思っていた設計が、意外と直感的でなかったりします。

ユーザーテストは、こうした“開発者の思い込み”を可視化する手段として、非常に効果的です。ユーザーの行動や言葉から、本当の使いづらさや混乱のポイントを発見することができます。

被験者の選び方とテストのタイミングが成果を左右する

効果的なユーザーテストには、対象となるユーザー層の選定も重要です。

たとえば、若年層向けのアプリをテストするのに、年配のユーザーばかりを被験者にしても、有効な結果は得られません。

また、開発の初期段階でテストを実施することで、致命的な問題を早期に発見でき、後の修正コストを大幅に抑えることができます。

ユーザーテストは少人数から始めて改善サイクルを回すのが鍵

ユーザーテストは、まずは少人数で始め、小さな改善を積み重ねることが成功のカギです。完璧な設計やUIを目指すのではなく、ユーザーの声を反映させながら柔軟に対応することで、サービスの品質は飛躍的に向上します。

時間もコストもかけすぎず、確かな成果を出せる点で、ユーザーテストは非常に優れた手法なのです。

ユーザーテストとユーザビリティテストの違い

「ユーザーテスト」と「ユーザビリティテスト」は、どちらも製品やサービスの改善に活用される手法ですが、実は目的や視点に明確な違いがあります。

ユーザーテストは、ユーザーが製品を使う中で自然に発生する行動や課題を発見することが目的です。

一方、ユーザビリティテストは、あらかじめ設定されたタスクに対して「どれだけスムーズに達成できるか」を測定し、使いやすさを数値や定量的な指標で評価します。

このように、どちらもユーザーを起点にしてはいるものの、アプローチと目的が異なるのです。

ユーザーテストは“気づき”重視、ユーザビリティテストは“評価”重視

ユーザーテストでは、ユーザーがタスクを実行する過程で、何に迷い、どこで引っかかるかを観察することが主な目的です。

テストの中でユーザーが発する「え、これどうやるの?」「わかりにくいな」といった声が、改善のヒントとなります。一方のユーザビリティテストでは、「〇人中〇人がタスクを完了できた」「平均完了時間は何秒だった」といった定量的なデータが重視されます。

結果を数値化できることで、社内での報告や評価にも使いやすいという利点があります。

使い分けが成果に直結する理由

プロダクトのフェーズや目的に応じて、2つのテストを使い分けることが重要です。

たとえば、新しいサービスの開発段階ではユーザーテストを通じてユーザーの反応や課題を広く収集し、その後の改善に活かします。

一方、リリース直前やリニューアル時には、ユーザビリティテストで使いやすさをチェックし、完成度を高めると効果的です。

つまり、ユーザーテストは「課題発見」、ユーザビリティテストは「完成度確認」という位置づけで考えるとよいでしょう。

併用することで最大の効果が得られる

理想的なのは、この2つを段階的に組み合わせることです。

初期段階ではユーザーテストで本質的な課題を探り、中盤から後半にかけてユーザビリティテストで使いやすさを定量的に検証する。

この流れを採用することで、ユーザーにとって本当に使いやすいサービスを設計できるようになります。どちらか一方に偏るのではなく、目的に応じて柔軟に選び、使い分ける視点がプロダクトの成功を左右します。

ユーザーテストを行うことで得られる4つのメリット

ユーザーの本音を引き出し、課題を早期に発見できる

ユーザーテストの最大のメリットは、開発者が想定していなかった“使いにくさ”や“誤解”を、ユーザー自身の行動から発見できることです。

どれだけ優れた設計でも、実際に使ってもらうと想定外の問題が浮き彫りになることがあります。

課題は、数値データでは見えにくいものですが、ユーザーの目線に立つことで初めて見えてきます。

改善の優先順位が明確になり、チームの意思決定がしやすくなる

ユーザーテストで明らかになった課題は、そのままプロダクトの改善指針になります。

特に、複数の問題がある中で「どこから手をつけるべきか」がはっきりするのは大きな利点です。

実際のユーザーの声や映像を使った報告は、開発チームだけでなく、マーケティングや経営層にも強い説得力を持ち、意思決定がスムーズになります。

社内の認識を統一し、共通のゴールを持てるようになる

プロジェクトに関わるメンバーが多くなるほど、「ユーザーにとって何が最も重要か」という視点にズレが生じやすくなります。

ユーザーテストは、そのズレを調整し、全員の目線をユーザーに合わせるための“共通言語”となります。

ユーザーの実際の行動を全員が見ることで、「なぜこの改善が必要なのか」が明確になり、部門間の連携も取りやすくなります。

これは、単なるテストを超えて、プロジェクト全体の推進力を高める効果があるのです。

結果的に、開発コストとリスクを大幅に減らせる

課題がリリース後に発覚すると、その修正には多大なコストと時間がかかります。

ユーザーテストは、問題を事前に見つけ出し、改善を小さな工数で済ませられるチャンスを与えてくれます。

これは開発全体の効率を高めるだけでなく、ユーザーからのクレームや評価低下といったリスクの回避にもつながります。

テストにかかる労力や費用以上の価値を、ユーザーテストは確実にもたらしてくれます。

これらを自社で行っていくというのも、一つの選択肢です。ただ社内人材の育成という問題がつきまとってくるわけです。

そこでProximoでは、内製化を支援する研修を行う形でUI/UXコンサルティングを行っております。

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ユーザーテストの実施フローをステップごとに解説

ステップ1:目的を設定し仮説を立てる

ユーザーテストの第一歩は、何を明らかにしたいのかを明確にすることです。

目的が曖昧なままでは、テストの成果も曖昧になります。たとえば「新しい導線が理解されているか」や「購入完了までにストレスがないか」など、具体的なテーマを設定します。

そしてそのテーマに対して仮説を立てます。「このボタン配置なら迷わずクリックできるはず」といった仮説があれば、観察ポイントが明確になり、テストの質が向上します。

ステップ2:シナリオを作成しタスクを定義する

次に行うのが、ユーザーに体験してもらうシナリオの作成です。

あくまでも“日常の行動”として自然に進めてもらえるように設計することが重要です。

また、どの画面でどんな行動を取るか、どこで立ち止まるかなど、観察するポイントも事前に整理しておくと、実施時に焦点を絞ることができます。

ステップ3:観察・記録・インタビューを実施する

テスト当日は、ユーザーの操作をリアルタイムで観察しながら、画面の録画やユーザーの発言を記録します。

ユーザーには、感じたことや迷ったことを声に出しながら操作してもらう「シンク・アラウド法」を用いると、内面の思考を把握しやすくなります。

テスト終了後には簡単なインタビューを行い、操作中の感情や理由を掘り下げると、より深いインサイトが得られます。

ステップ4:分析してインサイトを抽出する

最後に行うのが、収集したデータの分析です。ユーザーの行動や発言を振り返りながら、共通する問題点や意外な使い方、迷いや混乱の箇所を洗い出します。

このとき、単なる感想で終わらせず、「なぜその問題が発生したのか」「どう改善すべきか」という視点で因果関係を整理することが重要です。得られた気づきは、次の改善案へと直結します。

これにより、ユーザーテストは単なる調査ではなく、継続的な改善サイクルの出発点となります。

ユーザーテストの効果を高めるために押さえるべきポイント

テスト対象者は5人前後がベストな理由

ユーザーテストにおいて、どれくらいの人数にテストを実施すべきか悩むことは少なくありません。

一般的に「5人いれば十分」と言われる理由は、限られた人数でも8割以上の課題を発見できるからです。これは、多くのユーザーが同じような場所でつまずいたり、同じ誤解をしていたりするためです。

無理に10人以上にテストをしても、重複した情報ばかりが集まり、逆にコストや工数が増えてしまうこともあります。

まずは5人程度で実施し、得られた課題を元に改善し、必要であれば第2ラウンドのテストを行う方法が、費用対効果の高い進め方です。

質問の仕方ひとつで結果は大きく変わる

ユーザーテストでは、テスト対象者への問いかけ方も非常に重要です。質問が誘導的になってしまうと、ユーザーの本音や自然な行動が見えなくなります。

例えば、「このボタン、わかりやすいですよね?」という質問では、相手は無意識に「はい」と答えてしまいがちです。

そうではなく、「この画面でまず何をしますか?」「このボタンをどう思いましたか?」

といった、答えを限定しない質問を意識することで、よりリアルな反応を引き出せます。ユーザーの観察と言葉を信じる姿勢が、価値あるインサイトの獲得につながります。

テスト後のふりかえりが成果を左右する

ユーザーテストは実施して終わりではありません。

むしろ、重要なのはその後のふりかえりと分析です。ユーザーが迷った場面、操作を止めた瞬間、疑問を口にしたタイミングなどを振り返りながら、「なぜそうなったのか」を関係者全員で検討することが重要です。

テスト動画を共有して社内で意見交換することで、開発チーム・デザイナー・ディレクターの間で共通理解が深まり、次の改善施策もぶれずに進められます。

振り返りを丁寧に行うことで、ユーザーテストの価値が最大化されるのです。

まとめ

ユーザーテストとは、ユーザーが実際にサービスやプロダクトを操作する様子を観察し、課題や改善点を洗い出す手法です。

重要なのは、ユーザーのリアルな行動や感情に焦点を当てる点です。開発者や運営者が意図した通りに使われているかではなく、ユーザーが「どう感じ」「どう行動するか」を知ることが目的です。

ユーザーの声や行動をそのまま受け取り、開発に活かすことで、ユーザーに寄り添った改善が実現します。

そしてこの積み重ねが、結果としてサービスの信頼性向上、継続利用、さらにはファンの獲得につながります。

ユーザーテストは、開発チームにとって「ユーザーのリアルな声を聴く唯一の瞬間」であり、改善の第一歩でもあるのです。

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