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UX評価の重要な4つの手法!結果に基づく改善プロセスも解説

ユーザーの満足度を高めるためには、「使いやすさ」だけでなく、利用時に感じる体験全体を把握することが欠かせません。そこで重要となるのが、製品やサービスの体験価値を可視化する「UX評価」です。UX評価を行うことで、課題の発見から改善までを体系的に進められます。

今回は、UX評価の主要な4つの手法と、その結果を活かした改善プロセスについて解説します。

UX評価とは

UX評価とは、ユーザーが製品やサービスを利用した際に得る体験や感情を明らかにする取り組みです。

アクセス解析やアンケートなどの定量評価に加え、インタビューや観察による定性評価を組み合わせて実施されます。

UX評価の主な4つの手法

UX評価には主に4つの手法があり、それぞれ異なる観点からユーザー体験を測定できます。

アンケート調査

アンケート調査は、多数のユーザーから定量的なデータを効率よく収集できる手法です。選択式と自由記述を組み合わせることで、ユーザーの満足度や意見を体系的に把握できます。

Webを通じた調査が一般的で、短期間で多くの回答を得られるメリットがありますが、深い洞察を得るには限界があります。

調査方法としては、インターネット調査、会場調査、郵送調査などがあり、目的に応じて適切な方法を選択します。質問数は回答者の負担にならないよう20問以内、15分程度で完了できる量に抑えるのが理想的です。

インタビュー調査

インタビュー調査は、ユーザーの声や行動から深い洞察を得られる定性調査です。構造化インタビュー、半構造化インタビュー、非構造化インタビューの3種類があり、特に半構造化インタビューではユーザーの回答に応じて柔軟に質問を深掘りできます。

ユーザーの生の声を直接聞くことで、数値データだけでは見えてこないニーズや価値観を把握できます。また、表情や仕草といった非言語情報も観察できるため、より豊かな情報収集が可能です。

ヒューリスティック評価

ヒューリスティック評価は、専門家がユーザビリティの原則やガイドラインに基づいてUIを評価する手法です。代表的なガイドラインには「ニールセンの10原則」があり、システム状態の可視化や一貫性の保持などの観点から分析します。

実ユーザーを集める必要がなく、短期間で効率的に実施できるメリットがあります。初期段階のワイヤーフレームやプロトタイプの段階から活用でき、開発コストを抑えられます。

ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストは、実際のユーザーに特定のタスクを実行してもらい、その行動や発話を観察する手法です。使いやすさの問題点を発見し、具体的な改善点を明らかにできます。

テスト実施には「タスク設計」「実査」「分析」の流れがあり、思考発話法を用いることでユーザーの考えを把握します。少人数のテストでも多くの課題が発見できるのが特徴で、5~6人程度のテストで約85%の問題点が抽出できるとされています。

その他のUX評価の手法

ユーザーエクスペリエンス(UX)を評価する手法は多岐にわたります。基本的な4つの手法以外に、より定量的・定性的なアプローチで深く理解するための手法を紹介します。

定量評価

数値データを用いてUXの効果や課題を客観的に把握する手法です。定量評価では統計的な根拠に基づいた意思決定が可能になります。

タスク成功率

ユーザーが設定されたタスクをどれだけ完了できたかを数値化する手法です。例えば「商品を見つけてカートに追加する」というタスクに対し、成功したユーザーの割合を測定します。

タスク成功率が低い場合、そのプロセスに課題があることを示唆しています。評価は実際のユーザー行動に基づくものと、ユーザビリティテストでシミュレーションしたものがあります。

行動指標

離脱率やコンバージョン率などのユーザー行動を数値化した指標です。Webサイトやアプリの特定のページや工程から離脱する割合は、問題のある箇所を特定するのに役立ちます。

逆にコンバージョン率はサービス全体の効果を測る重要な基準となります。行動指標を継続的に測定することで、改善施策の効果を客観的に評価できます。

NPS®︎(顧客推奨度)

製品やサービスを他者に推奨する可能性を数値化したものです。「0〜10点のスケールで、この製品・サービスを友人や同僚に薦める可能性はどのくらいですか?」という質問への回答から算出します。

9〜10点が「推奨者」、7〜8点が「中立者」、0〜6点が「批判者」に分類され、推奨者の割合から批判者の割合を引いた値がNPSです。

スコアの理由を尋ねる自由回答もあわせて分析することで、より実用的な洞察を得られます。UXとNPSは密接に関連しており、使いやすさの向上がスコア改善に直結するケースが多く見られます。

定性評価

ユーザーの主観的な体験や感情を言語データから理解する手法です。定性評価は数値では表せない深い洞察を得るのに役立ちます。

テキストマイニング

アンケートの自由回答やカスタマーサポートの記録など、大量のテキストデータから有用な情報を抽出する手法です。

コメントの頻出語分析や感情分析、共起ネットワーク分析などを通じて、ユーザーの声から潜在的な課題やニーズを特定できます。

例えば、フリーコメントを分析することでユーザーが何に言及し、どのような感情を抱いているかを効率よく把握できます。また、時系列での変化を追跡することで、施策の効果測定にも活用できます。

ソーシャルリスニング

X(旧Twitter)などのSNSやレビューサイトでの投稿を分析し、ユーザーの生の声を収集する手法です。製品やサービスに対する自然な反応や意見を、バイアスのない状態で収集できる利点があります。

表面化する前の顧客不満を察知したり、マーケティング施策の反響を測ったりするのに効果的です。特に不満や改善要望については、早期発見と対応が重要です。競合サービスに関する言及もあわせて分析することで、市場全体の動向を理解できます。

UX評価を通じた改善プロセス

優れたユーザーエクスペリエンスを実現するには、継続的な評価と改善のサイクルが欠かせません。UX評価から最終設計までの一連のプロセスを紹介します。

UX評価による現状把握

UX改善の第一歩は、現状の課題を把握することです。ヒューリスティック評価では専門家がユーザビリティ原則に基づいて問題点を洗い出し、ユーザビリティテストでは実際のユーザーの操作過程や困難点を観察します。

多角的なアプローチで問題を特定することで、より精度の高い課題抽出が可能になります。例えば、「ナビゲーションが分かりにくい」「重要な機能が見つけられない」といった具体的な課題が明らかになります。

調査結果に基づく仮説検証・改善

課題を特定した後は、解決策の仮説を立案します。「ボタン配置を換える」「説明文を簡潔にする」など、具体的な改善案を検討し、小規模なA/Bテストで検証します。

例えば、問い合わせフォームへのクリック率が低い場合、ボタンデザインを変更して効果を測定します。2つのバージョンを用意し、どちらがより高い成果をもたらすかを比較することで、効果的な改善策を見極められます。

プロトタイプの作成

改善の方向性が定まったら、プロトタイプ(試作品)を作成します。低解像度のスケッチやワイヤーフレームから始め、徐々に詳細度を高めていく方法が効果的です。

作成したプロトタイプはユーザーに試用してもらい、使いやすさや理解度を検証します。この段階で複数バージョンを比較検討し、開発前に改善点を反映させることで、コストを抑えつつ最適なUXを追求できます。

最終的なUI設計

検証結果を踏まえて最終デザインを設計します。色・フォント・ボタンなどのUIコンポーネントを統一し、ブランドイメージを反映させた一貫性のあるデザインを目指します。

この際、デザインシステムを構築することで、今後の改修や拡張がしやすくなります。最終的なUIが確定したら、開発チームと密に連携してデザイン意図を正確に実装に反映させることが重要です。

UX評価にもとづく本質的なデザイン改善なら「Proximo」

適切なUX評価は、より良いユーザー体験の実現につながる重要な要素です。一方で、UX評価から改善までの一連の流れを自社だけで実施するのは、専門知識やリソースの面で難しいと感じる企業も少なくありません。

Proximoでは、調査の目的設定から調査プランニング、設問設計、さらには調査結果やデータに基づいたUI/UX改善まで、一貫したサポートを提供しております。

UX評価を通じて、ユーザーにとって価値のある、本質的な改善を実現したい企業様は、ぜひ一度Proximoへご相談ください。

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▼UX評価に基づくUI/UX改善事例

>>東日本旅客鉄道株式会社|新しいSuicaのUXリサーチ/ソリューション検討支援 

>>日本経済新聞社|日本経済新聞電子版のUI/UXデザイン支援

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