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UIモデリングとは?ユーザーの本質に迫り設計に活かす

近年、UI(ユーザーインターフェース)デザインの現場では、操作手順をベースにした従来型の「タスクベースUI」から脱却し、ユーザーが実際に扱う対象に注目した「UIモデリング」への関心が高まっています。

中でも「オブジェクト指向UI(OOUI)」は、ユーザーが関わる“オブジェクト”を起点にUIを設計することで、直感的で一貫性のある操作体験を提供できるアプローチです。

今回の記事では、UIモデリングの基礎から実践方法、導入のメリットまでを網羅的に解説し、デザイナー・開発者が現場で即活用できる知識を提供します。

なぜ今UIモデリングが注目されているのか?

タスクベースUIの限界と課題

デジタルサービスの数が爆発的に増加している今、UIの設計手法も大きな転換期を迎えています。従来のUI設計では、ユーザーが「何をするか」という“タスク”に注目し、そのタスクを効率的に処理できるUIを構築することが一般的でした。

しかし、現場では「操作はできるけど、使いやすくない」「同じような画面が並んでいて直感的でない」といった問題が頻発しています。
このような背景から、UIモデリングの手法のひとつである「オブジェクトベースUI」が再評価されています。

オブジェクトベースUIによる根本的なアプローチ

タスクベースUIでは、操作の流れに沿って画面を設計するため、ユーザーが実際に「何に関わっているのか(=オブジェクト)」が曖昧になります。

一方、オブジェクトベースUIは、ユーザーが対象とする「顧客」「商品」「注文」などの“オブジェクト”を中心に画面構成を考えるため、より直感的で一貫性のあるインターフェースになります。

たとえば、ECサイトで「商品情報を編集する画面」「商品の在庫を見る画面」「商品の販売履歴を見る画面」がバラバラに存在していたものを、「商品」というオブジェクトに集約し、そこから必要な操作を行えるように整理することで、ユーザーは迷わず操作できるようになります。

ユーザー中心設計とモデリングの関係性

UIモデリングは、ユーザーの行動や意図、目的を可視化し、画面設計に落とし込む作業です。つまり、ユーザーが“何をしたいのか”を考えるタスクベースの視点から一歩踏み込み、“ユーザーが関わる対象は何か”を明らかにする必要があります。

この視点の変化により、UI設計は操作の流れから、情報や対象との関係性を重視した構造的な設計へと進化します。結果として、ユーザーにとって意味のあるナビゲーションや操作体系が自然に生まれるのです。

OOUIの登場とその背景

このような課題意識の中で登場したのが、オブジェクト指向UI(OOUI)です。これは、システム開発における「オブジェクト指向設計」の考え方をUIに応用した手法で、UIを“使いやすくする”だけでなく、“理解しやすくする”ことを目的としています。

OOUIは、ユーザーの認知モデルに近い構造をUIに反映することで、操作ミスの減少や業務効率の向上につながります。とくに複雑な業務システムやBtoBアプリケーションでは、OOUIの導入によって、UXの質が飛躍的に向上したという事例も少なくありません。

参考記事:オブジェクト指向UIデザインとは?基本から直感的な操作を実現する設計のすべて

オブジェクト指向UIの基本概念とモデリングの進め方

オブジェクトの抽出とスコープ定義の方法

UIモデリングの出発点は、「オブジェクトとは何か?」を見極めることにあります。ここでいうオブジェクトとは、ユーザーが関わる「実体」を指し、業務や目的において意味のある対象のことです。

これらを洗い出すには、業務フローの整理だけでなく、ユーザーインタビューや観察を通じて、ユーザーが日常的に何を扱っているかを可視化することが不可欠です。

抽出したオブジェクトは、役割や属性ごとにグルーピングし、UIでどこまでの範囲をカバーするのか、つまりスコープを定義していきます。この工程は、UIの設計方向を定める地図のような役割を果たします。

ビューの設計で見える情報構造を組み立てる

オブジェクトが定まったら、次に必要なのは「ビュー」の設計です。ビューとは、ユーザーがオブジェクトと対話するための画面や要素のことを指します。

例えば、「顧客詳細画面」は顧客オブジェクトのビューであり、そこでどんな情報が見えるべきか、どのような操作が可能かを定義する必要があります。
ここでは、業務での優先度や利用頻度に応じて、表示項目やアクションの設計を行います。重要なのは、ユーザーが“いま何を見ていて、次に何をしたいか”を予測し、それに応じた情報構成にすることです。

UIレイアウトとインタラクション設計のポイント

オブジェクトとビューが明確になれば、次はUIレイアウトとインタラクション設計の段階です。ここでは、ユーザーの目線の動きや操作フローを考慮し、情報の配置やボタンの位置を決めていきます。
たとえば、一覧→詳細→編集という流れが自然な場合、一覧画面には概要を、詳細画面には属性と履歴を、編集画面では主要な入力項目を並べるといった具合です。
UI全体がオブジェクト単位で構成されていることで、画面間の一貫性が保たれ、ユーザーにとっても「どの画面で何ができるか」が理解しやすくなります。

オブジェクトに属する値もオブジェクトとして捉える視点

さらに踏み込んだ設計では、「オブジェクトに含まれる値」もひとつのオブジェクトとして捉える視点が求められます。

たとえば「顧客のメールアドレス」や「電話番号」は、ただの属性ではなく、それ自体が“意味”や“制約”を持つ情報です。

こうした値を独立したオブジェクトと見なし、UI上でも明示的に扱うことで、設計の柔軟性と再利用性が高まります。
この考え方により、UIは単なる表示と操作の場から、情報の意味構造を反映したインターフェースへと進化していきます。

UIモデリングのための具体的な設計プロセス

ユーザー情報をモデル化する例:UserContactInformation

UIモデリングを実践する際には、抽象的な概念だけでなく、具体的なモデリング例があると理解が深まります。その代表的な例が「UserContactInformation(ユーザーの連絡先情報)」です。
このオブジェクトは、氏名やメールアドレス、電話番号など、ユーザーと連絡を取るために必要な情報を集約したものです。

一見すると、単なる属性の集合体のように見えるかもしれませんが、UI設計ではこれを独立したオブジェクトとして扱うことで、大きな設計メリットが生まれます。

たとえば、入力フォームで「ユーザー情報」と「連絡先情報」が混在していると、ユーザーにとっては情報の意味が曖昧になりがちです。

しかし、「連絡先情報」というオブジェクト単位で画面を分ければ、ユーザーは「今は何の情報を扱っているのか」が明確になります。これは画面構成のわかりやすさ、操作のしやすさに直結します。

プリミティブ型の柔軟さと使いどころ

「値オブジェクト」の考え方を取り入れることで、さらに設計の精度が上がります。たとえば、「メールアドレス」は文字列(String)として扱えますが、それだけではバリデーションや制約が不十分です。

そこで、「Email」という値オブジェクトとして定義すれば、正しいフォーマットやドメインの制約などを一元的に管理できるようになります。

プリミティブ型は、シンプルで実装しやすい反面、意味を持たせにくいという弱点があります。だからこそ、設計の段階で意味のある「型」としてモデリングしておくことで、実装時にも安全性と再利用性が高まるのです。

この設計思想は、UIの表示だけでなく、入力制御やデータ検証にも反映され、開発効率とUX品質の両立に寄与します。

メールや電話番号など値オブジェクトの定義方法

UIモデリングにおける値オブジェクトは、それぞれが独立した意味を持つ「最小単位のオブジェクト」として定義します。

たとえば、「メールアドレス(Email)」「電話番号(PhoneNumber)」「連絡の許可(ContactPermission)」などは、それぞれに特有の制約や振る舞いを持ちます。これを事前に明文化しておくことで、開発チーム内での認識のズレを防ぐだけでなく、UI設計の整合性を保つことができます。

たとえば、「電話番号」は数値である必要があり、国番号や桁数に応じた制約も発生します。「連絡の許可」は、チェックボックスで表現される選択肢かもしれません。こうした仕様をオブジェクトごとに整理しておくと、UI設計と実装のブレが最小限になります。

データ入力とバリデーションの設計戦略

ユーザーの入力体験を快適にするには、単にデータを受け取るだけでなく、適切にバリデーションする仕組みが不可欠です。値オブジェクトの設計によって、どの情報にどんな制約をかけるかが明確になっているため、UI側でもそのルールを自然に反映できます。

たとえば、「メールアドレスが正しくない場合には赤枠とエラーメッセージを表示する」「電話番号が11桁でなければ登録ボタンを無効にする」といった仕様が、UI設計上のルールとして落とし込めます。これにより、ユーザーの入力ミスを防ぎつつ、迷いなく操作できるUIが実現します。

Proximoは、UI/UXデザインコンサルティングを手がける会社です。

見た目や使いやすさのみではなく、ユーザーにとって価値のある体験を設計し、ビジネスとして成立する全体的な仕組みをデザインすることを得意としています。

サービスの内容はこちらから、ご確認ください。
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モデリングを学ぶためにデザイナーができること

既存UIのリバースエンジニアリングを試す

モデリングの理解を深めたいと考えるデザイナーにとって、最も実践的な学び方の一つが、既存のUIを逆から読み解く「リバースエンジニアリング」です。

日常的に使っているサービスや業務システムを観察し、「この画面のオブジェクトは何か?」「どのような属性・操作が提供されているか?」を意識的に分析します。

例えばECサイトであれば、「商品」「注文」「カート」「ユーザー」などが主要オブジェクトです。

それぞれの画面がどのオブジェクトを中心に設計されているかを観察し、どこに改善の余地があるかを考えてみることが有効です。

自社製品でモデリングを試すタイミング

モデリングの実践には、自社で開発しているサービスやツールを題材にするのが最も効果的です。特に、新機能を追加するタイミングや既存機能の改善を行う場面では、UIモデリングの考え方を取り入れる絶好の機会です。

現場では「新しい画面を追加しよう」という発想になりがちですが、その前に「ユーザーが操作するオブジェクトは何か?」を明確にすることで、UIの構造自体を見直すきっかけになります。

たとえば、複数のタスクが散らばっていたUIを、「案件」というオブジェクトに集約することで、機能と操作を整理できるケースがあります。

プレゼン資料に取り入れてチーム共有を図る

モデリングは個人で完結するものではなく、チーム全体での共有が不可欠です。そこで効果的なのが、UIモデリングの成果を資料に落とし込み、設計会議や提案の場で活用することです。

「この画面はどのオブジェクトに基づいて設計しているか」「各ビューはどのような属性や操作を含むか」といった情報を図解やスライドにまとめることで、エンジニアやプロダクトマネージャーとの認識を一致させることができます。

共通言語としてのモデリングを用いることで、設計の根拠が明確になり、UI改善の議論も建設的になります。

新機能設計にモデリングの視点を導入する

新機能の企画や要件定義段階で、UIモデリングを活用することで、機能の粒度や情報構造をより明確にできます。

例えば、単に「通知機能を追加する」とするのではなく、「通知」というオブジェクトに対して、どんな属性(タイトル、本文、既読状態)や操作(確認、削除)が必要かを洗い出すのです。

こうした視点を持つことで、UI設計が“ボタンを並べる作業”から“意味を構造化する設計”へと変わります。結果として、ユーザーが直感的に操作できるインターフェースが生まれやすくなり、プロダクトの品質向上にもつながります。

まとめ

UIモデリングは、ただ画面をきれいにデザインするための手法ではありません。ユーザーがどのような対象(オブジェクト)と関わり、どんな行動をとるのかを明確にし、その構造をもとにインターフェースを設計する、極めて論理的かつユーザー中心のアプローチです。

UIモデリングを導入すると、まず設計の指針が明確になります。

オブジェクトベースでUIを構成すれば、画面ごとにぶれない構造が確立され、ユーザーもどの画面で何を操作できるのかが直感的にわかるようになります。

たとえば、業務システムのように機能が多岐に渡るプロダクトでは、従来のタスクベースの設計では、機能同士のつながりや優先順位が見えづらくなりがちです。

しかし、UIモデリングを取り入れることで、ユーザーが「何を扱っているのか」「何をしたいのか」という本質に立ち返ったUI設計が可能になります。

それにより、業務効率が上がり、ユーザーの満足度も向上するという成果を得ることができます。

ユーザーとの接点であるUIを、常に最適化された状態に保つためにも、UIモデリングは今後ますます不可欠なスキルとなっていきます。

Proximoは、UI/UXデザインコンサルティングを手がける会社です。

見た目や使いやすさのみではなく、ユーザーにとって価値のある体験を設計し、ビジネスとして成立する全体的な仕組みをデザインすることを得意としています。

これまでの、支援実績ですと、

株式会社gumi|CS(カスタマーサービス)管理システムのUI/UXデザインをはじめとしたクリエイティブ制作を支援

お客様の声として、「各種社内ツールのUI/UXリニューアルにおけるデザインや評価、フィードバックを受けた改善など単に見た目を良くするのではなく、利用者が使いやすく、業務効率が向上するように実際の利用者を直接確認しながらデザインを作成していただきました。」

という、お声をいただきました。

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